育つこと、働くこと、老いること。私たちにできること全部。社会福祉法人:藤雪会

理事長・又木京子の世の中ラボ

理事長の又木京子が、ひとつの数字をテーマに、数字と社会の背景をさぐります。

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第2回日本が全世界の18.6% 19%

東京オリンピックのメダル目標数ではありません。
ジャパン・アズ・ナンバーワンの経済系の数字でもありません。

知る人ぞ知る、精神病院のベッド数です。
世界の精神病院ベッド数185万床に対し、日本のそれは34万4千床。(2012年データ)
世界の18.6%が日本。ダントツの1位です。

なぜこの数字を今回取り上げたか。神奈川県の障がい者施設やまゆり園殺人犯が精神病院に措置入院していたこと、退院許可したことの是非がマスコミそしてネットでかなり取り上げられていたからです。

でも世界の趨勢は違っているのです。
日本と真逆の国がイタリアです。
1978年に精神病院入院病棟を全廃する法律をつくりました。人権問題から発して、「隔離から共生へ」をテーマに地域精神保健制度に移行しています。
 大きな事件があると犯人の精神疾患が問題視され、措置入院が議論される日本とは大違いの国があることを私たちは知るべきです。

私も10年位前にイタリアに行き、精神病者だけでなく、元犯罪者、元薬物中毒者、知的障がい者、高齢者などがコロニーという大きな入居施設ではなく、地域で共生するための仕組みを視察して、大きな刺激を受けました。

入院病棟や入所施設を廃止したら不安という声もあると思います。もちろんイタリアでは「地域の精神保健センター」を設置し、地域で暮らすことをサポートするシステムや人の配置をしています。仕事もつくっていました。

保育園建設に反対運動が起きる日本。やまゆり園の事件から障がい者施設や認知症高齢者の入居施設の建設にも不安の声を平然と上げる日本。道徳教育ではなく、人権教育をもっともっと高めたいと思います。

少なくとも高齢者や障害者の生活施設が交通困難エリアではなく、市街地に広がる日本でありたいと願います。
私たち藤雪会は市街地に特養やグループホームをつくります。
2016年9月5日(理事長 又木京子)